
発酵カフェ/ループ
富山市婦中町にある、昔ながらの健康的な食生活、体にやさしい発酵食をテーマにした飲食店です。
まちなかから少し距離のある、田んぼに囲まれたエリアにある築60年ほどの住宅は、東には立山、西には田圃や山々が見え、開放感のある最高のロケーションです。空き家の期間が長く、雨漏りや床の傾きなど劣化が激しかった増築部分を中心に解体減築し、建物全体での耐震・断熱改修を行いました。
店のコンセプトにあうよう、住宅本来の構造の美しさや建具の繊細さなど、古いものを活かした設計としました。同時に、飲食店としての居心地の良さ、清潔感、バックヤードの使い勝手を考えています。
ガラス面の大きな造作引戸のエントランスは、減築して生まれた軒下空間に配置し、2階の木製窓のデザインを1階にも採用して、ファサードを整えました。外壁は無塗装の県産杉と白漆喰で素朴ながら爽やかさのあるデザインに。店内は、西に抜けた田んぼの風景を見渡せるように大きな窓を配置して、広がりのある土間空間をメインの客席としました。畳小上がりには、近くの丘と遠くの山が見える窓を新たに設け、既存の雪見障子を再利用して、落ち着く空間となっています。
解体時にとっておいた木材をオーナーさんに洗浄していただき、室内の天井板や腰板として、またレジカウンターや造作棚の材料として使用しています。建具や照明器具も再利用し、お店の名前にもなっている“ループ”=循環を、建築でも表現しました。弁柄色の塗装、石、鉄、障子など、古くからあるものの味わいがお店の雰囲気づくりに一役買ってくれています。